第14章 【Shit】
クリスが紅茶を飲みながら、ドラコに対する怒りで奥歯を噛みしめている時、ふくろう便がやってきて生徒達に手紙を配っていた。その中に、クリスが頼んでおいた品もあった。
「珍しいね、家からの手紙じゃないの?」
「ああ、これはふくろう通信販売のカタログだ」
グレイン家は代々、大ガラスを使い魔として使役している。クリスもネサラというとても賢い大ガラスを飼っている。しかし今日来たのは、以前頼んでおいた、ふくろう通販販売のカタログだ。クリスはカタログを開きながら、他の3人に訊ねた。
「なあ、30代の男の人って、クリスマスに何が欲しいと思う?」
突然の質問に、ロンはカボチャジュースを吹き出し、ハリーはハニートーストをのどに詰まらせてむせていた。
「それって、もしかしなくてもルーピン先生にあげるのかい?」
「い、いいいい良いだろう。誰にあげたって!」
そう言いながら、クリスはポッと顔を赤らめた。それだけで、答えは言わなくても分かった。ロンはちょと考えた後、新品のローブが良いと提案した。
「良いじゃないか、先生ズタボロのローブしか持ってなさそうだし」
「なんか……それって逆に失礼にならないか?」
継ぎはぎだらけのローブを着ている人に、新品のローブを贈るなんて「継ぎはぎだらけなんてみっともないですよ」と言っている様なものだ。それに先生をやっているくらいなんだから、給料で新しいローブなんていくらでも買えるはずだ。クリスはもっと、心のこもった物が良いと思った。
「あ、紅茶のカップなんてどうかな?以前ルーピン先生にお茶を入れて貰ったとき、カップの縁が欠けてたから」
「うーん……紅茶のカップか。それも良いな……内緒で私も同じものを頼めばお揃いになるし……」
自分で言っておきながら、恥ずかしくなったクリスは照れ隠しにハリーの背中をバンバン叩いた。クリスの頭の中では、ルーピン先生とお揃いのカップで紅茶をたしなむ自分の姿が描かれていた。
その時、ハーマイオニーが何かを思いついたようにパチンと両手を叩いた。