第13章 【グリフィンドール対ハッフルパフ】
確かに、今日は大事な初戦だ。気を抜くことは出来ない。納得するクリスの顔を、ハリーがじっと見つめた。
「クリスは?どうしてこんなに早いの?」
「私は……その、ルーピン先生が心配で……」
少し恥じらいながらそう答えると、ハリーは少し不思議そうに疑問を投げかけた。
「ねえクリス、聞いても良い?何でそんなにルーピン先生が良いの?正直言って、見た目もカッコ良いとは言えないし、それに20歳位年上の人だよ」
「何と言うか……理屈じゃないんだ。ルーピン先生の傍にいると、胸の辺りが温かくなって、でも落ち着かなくて、上手く言えないけど、なんだか優しい気持ちになれるんだ」
クリスは話しながら、顔がだんだん赤くなっていくのを感じた。照れくさくて、クリスは紅茶を一気に飲み干して誤魔化した。
それからだんだんと大広間が賑やかになり、ロンとハーマイオニーも大広間にやって来た。そして他のグリイフィンドール生の中に、チームメイトが姿を見せ始め、ハリーはキャプテンのウッドに呼ばれて席を外した。天候は昨日と変わらず強い雨と風が吹き、雷鳴が鳴り響いている。こんな中でも試合をするのかと思うと、選手はもちろん観客も苦労するだろうと思った。
そして試合開始30分前になると、ハリーはチームメイトと一緒に大広間を出て行った。ロン、ハーマイオニー、クリスの3人は1番良い席を取ろうと、ほぼ同じ時間に大広間を後にした。傘をさしていたにも拘らず、横から吹く強い風と雨にあおられて、傘はすぐ使い物にならなくなってしまった。観客席に着く頃には、3人ともびしょ濡れだった。
「こんな中で試合をするのか?」
「え!?なに?聞こえないよ!!?」
「こんな中で試合なんて出来るのかって聞いているんだ!!」
クリスは叫びながらロンに話しかけた。それでも豪風と雷雨に殆どの会話が届いていない様だった。
グリフィンドールのチームがフィールドに出て来た時、観客席から大声を張り上げて声援を送ったが、聞こえていないのか、誰一人として観客席に顔を向ける選手は居なかった。
まもなくハッフルパフのチームも出てきて、キャプテン同士握手を交わした。それからフーチ先生がホイッスルを鳴らし、凄まじい豪雨が叩きつける中、ついに戦いの火蓋が切られた。