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ハリー・ポッターと恋に落ちた道化師

第13章 【グリフィンドール対ハッフルパフ】


 いきなりの質問に、生徒達は黙ったままだった。しかし、果敢にもハーマイオニーだけが背筋をピンと伸ばして、指先まで全神経を集中させていた。だが、そんなハーマイオニーの姿をまるで見えていないかのように、スネイプは無視をした。

「誰もいないようだな。するとルーピン先生は1学期が終わるというのに、まだそんな初歩的な事さえ教えていないというのか。こんなに遅れたクラスは初めてだ」
「先生、狼人間と本当の狼はいくつか細かい点で違いがあります。例えば狼人間の鼻面は――」
「勝手に喋りだしたのはこれで2回目だグレンジャー。その浅ましい知ったかぶりで、グリフィンドールに5点減点する」

 ハーマイオニーはゆっくり手を下ろすと、真っ赤になって目に涙をいっぱい浮かべて、ローブの袖で泣き声が漏れないように口を覆っていた。
 それを見て、クリスの怒りが爆発した。いや、クリスだけではない、今やクラス全員がスネイプに怒りを覚えていた。特にロンなんて週に1回以上は「知ったかぶりのお節介」と口にするのに、この時ばかりはそんな事を忘れてスネイプに食って掛かった。

「先生がクラスに質問したんじゃないですか!それをはマイオニーが答えたのにどうして減点するんですか!?おかしいです!!」

 言い過ぎたと、クラスメイト全員が思った。予想通り、スネイプの口先が神経質にぴくぴくと引きつり、ゆっくりロンに近づくと杖先で顎をを持ち上げて意地の悪い声で囁いた。

「処罰だ、ウィーズリー……さらにもう一度吾輩のやり方に不満を口にするようなら、この学校に入学した事を後悔させてやるぞ」

 そう言って、スネイプは教卓に戻って行った。それから先、誰も一言も漏らすまいと口をつぐみ、スネイプが黒板にチョークをはしらせる音と、生徒達がそれを羊皮紙に写す音だけが響いていた。
 いったいどのくらいそんな時間が続いたんだろう。拷問のごとく、異様に長く感じられる時間が経つと、やっと授業の終わりを告げるベルが鳴った。生徒達は素早く荷物を片付けて部屋を出ようとすると、その後ろからスネイプが声をかけた。

「全員、今日やった事をレポートにまとめたまえ。人狼の見分け方と殺し方についてだ。羊皮紙2巻分、月曜の朝までに提出だ。出来なかった生徒にはそれぞれ罰則を与える。ウィーズリー、残りたまえ。処罰を決めねばならん」
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