第13章 【グリフィンドール対ハッフルパフ】
「こんなのってないよ!!」
「どうしたんだ、ハリー?」
談話室で呪文学の宿題をしていたクリス達に、ハリーが怒鳴りこんできた。ハリーは雨の中練習していた所為で、ずぶ濡れになって、髪もいつも以上にクシャクシャだった。
「対戦相手が変わった。スリザリンじゃなくて、ハッフルパフになった」
「どうして?」
「マルフォイの所為だよ、あいつ、まだ腕が治り切ってないからってスネイプに進言したらしい!ウッドはこんな悪天候じゃ試合をするのに不利だからって言ってたよ!!」
「あんのクソでこっぱち!!」
クリスが勢い余って立ち上がった。それほど腕が痛いと言うのなら、いっそ本当に骨折させてやろうかと思ったが、それで寮点を50点も減点されたら意味がない。クリスはその場で拳を握り、じっと怒りを堪えると、やがてハリーの肩を掴んで檄をとばした。
「ハリー、こうなったら絶対に試合に勝ってくれ。いや、勝て!!その日は私も応援に行くぞ!!」
「任せてよ!マルフォイの策略なんかに乗せられちゃたまんないからね!!」
2人は拳と拳を突き合わせ、熱い闘志を燃やした。
しかし翌朝の試合前日、風はいっそう激しくなり、雨は窓ガラスを叩きつけ、大広間の天井は厚い灰色の雲で覆われていた。スリザリンのテーブルから「ああ、僕の腕が治っていたらなあ」とドラコの癪に障る声が聞こえたが、ハリーもクリスも聞こえないふりをしてやり過ごした。
だがクリス達の苦労はそれだけではなかった。クリスの愛しいルーピン先生の授業に、なんとあのスネイプが現れたのだ。スネイプは憎々し気な態度で教卓に立った。
「なんで……どうして?」
クリスは頭が真っ白になり、代わりにハーマイオニーがスネイプに質問した。
「先生、ルーピン先生はどうしたのですか?」
「病欠だ」
スネイプはそれだけ言うと、さっさと出席を取りはじめた。丁度その時、ウッドと授業ぎりぎりまで作戦を練っていたハリーが教室に駆け込んできた。
「ルーピン先生すみません!遅れてしま――」
スネイプの姿を見て、ハリーは言葉を失い固まった。それを見て、べっとりとした黒髪の間から、スネイプはハリーを虐める時に見せる、あの独特の薄気味悪い笑みを浮かべた。