第13章 【グリフィンドール対ハッフルパフ】
それから朝がやってたが、皆クリス達と同じように眠れなかったのか、目の下にクマを作っていた生徒ばかりだった。
訳もない。魔法界きっての殺人鬼が、このホグワーツに侵入したのだ。生徒達は皆、どうやってシリウス・ブラックが城内に入り込んだのか、色々な憶測を立てていた。しかし、どれもこれもハーマイオニーに言わせれば陳腐な推論に過ぎず、それらを全て論破していった。
朝食が終わり、グリフィンドールの談話室に戻ると『太った婦人』の代わりに、占い学の時世話になったあのずんぐりむくっりの、いかれた『カドガン卿』の絵がかけられていた。
『カドガン卿』は、だれかれ構わず決闘を申し込み、挙句の果てに1日に3回は合言葉を変えるので、皆不満たらたらだった。しかし、『太った婦人』があんな目に遭ったので、誰もこの役に着きたがらなかったらしい。
なので、グリフィンドール生はみんな不満をもって『カドガン卿』の相手をしなければならなかった。
しかしハリーはそれに加えて、不満が山ほどあった。『占い学』のトレローニー先生は、ハリーを見るたび今にもシリウス・ブラックに殺されそうな目でハリーを見つめていたし、他の先生方は何かと理由をくっつけてはハリーと同行するようになった。極めつけはパーシーで、ハリーがどこに行くにも着いてきて、まるで威張りくさった番犬のようだった。
ハリーの不幸はそれだけではなかった。マクゴナガル先生が、ついにハリーに「ブラックが狙っているのはハリーだ」と告白した。そのおかげで、夕方にクディッチの練習をするのは良くないと考えたらしく、ハリーはクディッチの練習ですら、いつもフーチ先生の監督下で練習しなければならなかった。
そんなこんなで、ハリーの周りにはいつも誰かが一緒で、寝ている時以外ハリーに自由は無かった。
しかし、ハリーは我慢強く耐えた。今年こそクディッチ杯を獲得するんだと、強い信念があったからだ。
そのおかげで例え強い北風が吹こうが、冷たい雨が降ろうが、グリフィンドールのチームは――主に今年最後になるリーダーのオリバー・ウッドは――練習に余念が無かった。
だが第一回目の試合を間近に控えたある日、遂にハリーがキレて談話室に戻ってきた。