• テキストサイズ

ハリー・ポッターと恋に落ちた道化師

第1章 【The summer vacation ~Ronald~】


【The summer vacation ~Ronald~】

 学生なら誰もが喜ぶ夏休み。そんな中、ウィーズリー家の台所では、3人の少年が無言で永遠とも思えるジャガイモの皮むきを言いつけられていた。部屋に響くのはシャリ、シャリと包丁で皮をむく音だけ。それが20分位続いただろうか、遂に双子のジョージが音を上げた。

「あ~、もう馬鹿らしい!やってらんないよこんなの!!」
「俺も限界だ!だいたいロンがへましなきゃこんな事にならなかったのに!!」
「僕だけの所為にするつもり!?フレッドだって変なとこに投げなきゃちゃんと取ってたのに!!」

 相方のフレッド、そして弟のロンまでもが音をあげて手を止めた。こうなったのには、約30分ほど前にさかのぼる。

 天気の良い、正にクィディッチ日和と言っても良いほのぼのとした午後の事だった。ジャガイモをボール代わりに、3人でクィディッチをして遊んでいたところ、たまたまフレッドが放ったジャガイモが、ロンの脇を通り過ぎ2階の窓ガラスを割ってしまった。それを知ったウィーズリー夫人はカンカンになって怒り「そんなにジャガイモが好きなら夕食用のマッシュポテトに使うジャガイモを全部皮むきしなさい!!」と怒られてしまったと言うわけだ。
 そんなわけで、男3人慣れない手つきで一家7人分のジャガイモの皮をむく羽目になったのだ。

「ロン、おまえ絶対クィディッチチームに入れても、キーパーだけはやるなよ」
「ジョージの言う通りだ、チームが無残に負ける姿が目に浮かぶよ」
「なんだってぇ!!」

 ロンが立ち上がり、怒りをあらわにしたが、またすぐに座って皮むきをはじめた。こんな所で怒ったって、何も解決しない。そう思ったのだ。

「あーあ、もうやってらんないよ。何か楽しいことでもないかなあ」
「ふ~ん、つまり今は暇だと言う事か?」
「暇も暇……この間行ったエジプト旅行が懐かしいよ」
「じゃあ、私と一緒にマグルの町へ出かけるって言うのはどうだ?」
「良いねえ、マグルの町か――って、クリス?!」

 振り返ると、暖炉の炎に友人であるクリス・グレインの顔が浮かんでいた。クリスは何てことない風に「やあ」と言って手をふった。驚くロンとは対照的に、双子のフレッドとジョージは好奇心満々でクリスに近づいて行った。
/ 331ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp