第28章 祈願成就 ーR18ー(家康)
突然彼女が言い出した。
初詣に往く道すがら。
「ねぇ、家康。
おみくじ対決しようよ!」
「は?」
おみくじで対決なんて聞いたことない。
童なら兎も角、大人がする事じゃないでしょ。
「……」
「あー、何、その嫌そうな顔〜」
「嫌じゃなくて、呆れてるんだけど」
と言ってもめげずに、
我が道を往く感じで、続ける。
「おみくじで、悪いのが出た人は、
良いのが出た人を、頼る!って」
「はぁ?それ、なんかおかしくない?
やってらんないんだけど…」
「いいでしょ〜
新年なんだからっ。
良いおみくじ出た人が、悪い人を救うと思って」
なんだかよく分からない理屈をつけて、
対決を実行しようとする華月。
(とりあえず、要するに、
頼って欲しい、頼られたい、って訳?)
「なんなの…もう…」
渋々ながら了承する。