第26章 スモモも桃もモモのうちーR18ー(信長)
「では次は季(スモモ)だな。
あー「あーーカ…ジュゥ〜……ん」」
硬いと思って勢いよくかぶり付いたスモモは、思いの外、よく熟していて、柔らかく果汁が滴った。
(熟しても、甘酸っぱい…)
「スモモです」
「だろうな。季(スモモ)だから当たり前だ。
納得したか」
「…はい」
華月が頷く。
「俺が思うに、貴様の時代の桃が完成形だ。
さすれば今の桃はまだ未完成、未発達なのだ。
だから、硬く小さく美味そうに見えぬ」
信長の予想に、華月もピンッと来たようだった。
「あつ、そうですね。果物って改良されてどんどん美味しくなりますもん」
「改良、か。そうだな…」
何かを考えながら、自らも桃を手にして齧る。
考え事をしているせいか、少々 気怠げに見える信長は、色香を纏った若獅のようだ。