第17章 雨と紫陽花 R18 ー前ー (信長)
開いた障子。
垂れる雨雫。
溢れる吐息。
「雨なのが、惜しいな」
信長が背後から抱き締めて華月の耳元に、
意地悪な声を吹き込む。
「…え?…」
振り向こうとして、首筋に舌を這わされる。
「んっ!…ゃっぁ…なぁ…ん……て…」
ゾクッと震える身体に言葉が濁る。
「晴れていたら、縁に出て、貴様を玩(もてあそ)んでやったものを…」
「⁉︎…そん、なっ…ンッ…」
「近淡海の風景を観ながら、こうするのも、一興ではないか。
…まぁ…貴様は観る余裕もないだろうが、な…クククク…」
※近淡海…ちかつあわうみ/琵琶湖の古い呼び方。