第15章 愛を冷遇する者ー中ー
「私は、逃げ出したりしてません。
1人で外出しても、迷子になっても、
必ず貴方の元に帰ります。
生きて!
死んだりしないっ!
自ら命を絶ったりもしません‼︎」
私の言葉を聞いた謙信様の、酷冷の気が萎え弛み、顔色がどんどんと蒼白になる。
「解ってくれたと思ってました。
私は、愛する人を、
愛する貴方を残して、
何処かに行ったりしないと誓った事を…」
私はもう、謙信様がどんな顔色になろうと気にならなかった。
「…華月…解放して欲しいのか?
…やはり、俺の事は……」
謙信様が全て放棄し、諦めたような薄い声を出す。
私はそれを撥ね付けるように、
「はい。もう、解放して下さい」
迫るような声で強くハッキリと言った。