▽▲ 大人ノ玩具箱 ▲▽【イケメン戦国】(R18)
第21章 ▲月華美人▽ *明智光秀* -拾弐-
止まったのは、時なのだろうか…己だろうか。
何も、感じない。
その拘束は、解いたのだろうか…緩んだのだろうか。
気が付けば、家康の腕を振りほどき、ハナの元へと駆けていた。
音を、感じない。
駆けていく光秀の後ろ。
三成が、茫然とハナを見ていた。
その肩を、誰かが叩く。
振り返り、その顔を見た。
色を、感じない。
家康の肩を、誰かが叩く。
振り返る。
顔を確かめ、深く、ひとつ、息をつく。
熱を、感じない。
秀吉が、三成に何かを告げる。
三成の瞳が、大きく開く。
ハナへ駆け寄る光秀の後ろ姿を見た。
全てが、無へと帰していく。
政宗の肩を、家康の拳が殴る。
甘んじて受け、政宗がその拳を握る。
隻眼に、光秀とハナを振り返る
家康が映る。
ただ一輪。
紅い華が咲いていた。