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【ヒロアカ】Don't touch me.【轟】

第8章 Belief



とうとう職場体験の日を迎えた。私達はクラス全員で駅構内にいる。
これから私達は各々ヒーロー事務所に赴き、ヒーローの仕事とは何たるかを間近で見て、体験する。

「全員コスチューム持ったな。本来なら公共の場じゃ着用禁止の身だ。落としたりするなよ」
「はーい!」

相澤先生の話に三奈ちゃんが元気に返事をした。先生はそれをぴしゃりと叱りつける。しおらしくなる三奈ちゃんに苦笑してどんまいと励ました。

「くれぐれも体験先のヒーローに失礼の無いように」

皆で大きく返事をして解散となった。各自それぞれの目的地に向けて歩き始める。
誰と話すこともなく去っていこうとする飯田くんの背中を見つめると、胸がざわめいた。

「飯田くん。本当にどうしようもなくなったら言ってね。友達だろ」
「……ああ」

緑谷くんとお茶子ちゃんが心配そうに飯田くんを見つめていた。振り返った飯田くんの表情は暗く陰っていた。
その瞳は燃えるような色を宿していて、私はそれがとても不安だった。


「綿世」

耳に心地よい声が聞こえて振り返る。その声で不安な気持ちがほんの少し和らいだ気がした。

「轟くん。職場体験お互い頑張ろうね」
「ああ。無茶すんなよ」
「気をつける。轟くんもね!」

微笑んで手を振って、私達は歩き出す。今日から皆とは少しのお別れだ。
不安と緊張と寂しさ。そして、期待。

──頑張ろう。

コスチュームの入ったケースのハンドルを強く握った。


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