第6章 Ripple
「さて、帰ろっか」
「あぁ。悪ぃ、何も手伝えなくて」
「轟くんは私の特訓手伝ってくれてるでしょう。それにアレ全部私が散らかしたモノだから、自分で片付けるよ」
「そういうもんか」
「うん、そういうもんだよ」
笑って言えば、不服そうにしていた轟くんも納得……はしてないけど折れてくれて、片付けは私の担当になった。
いつもの帰り道を二人で並んで歩く。私達の距離は自然と前よりも近くなって、時々手がぶつかる。何も起こらないのが嬉しくてその度に微笑んだ。
轟くんは何か言いたそうに拳を握ったり、私をじっと見つめたりしていたけれど、聞いても答えてはくれなかった。ただ、もう少し離れて歩こうかと提案した時は、別にこのままでいい、と即答したから、私はますます首を傾げたのだった。