第11章 epilogue
移動のため、夜のうちに商業船に乗り、翌日の昼頃には海軍指定の島へ到着した。
ここは交易港として栄えているようで、大小様々な船がたくさん舶まっている。
天気は快晴へと転じ、海風が気持ち良い一日だった。
海軍の帆はよく目立つので、探すのに苦労はない。
港に降りると、軍艦の周りで警備にあたっていた兵士に声をかけた。
「この船の責任者と話をしたい。」
兵士は、全身を布で覆い顔もフードで見えない私に、不審な目を向ける。
「一般の方が海軍軍艦に近づくことは許可できません。お引き取りください。」
キビキビとした言いようは、まだ若い兵士に思えた。
この件は、上層部にしか知らされていないのかもしれない。
私は海軍からの手紙を突き出し、フードをとって顔を見せた。
「海軍本部からの招集を受けている。話の分かる奴を連れてこい。」
「おっ…お前は…!!!!」
まるで悪魔に遭遇でもしたような顔で、真っ青になった若者は急いで船内へ駆けて行った。
周囲の兵士たちも私の姿を見てざわつき始め、軽い人だかりができている。
「悪い冗談みてェだな。」
船内から出てきた”話の分かる奴”は、煙をふかしながら昨日と同じくらい不服そうな顔をしている。
たまたま近くの島にいたから派遣されたのか、元々そのつもりで泳がされていたのか定かではないが、可笑しくて自然と口角が上がった。
「冗談じゃなくて残念だったな、スモーカー。」
私は首についた痕をさすりながら歩み寄った。
「出港する。とっとと乗れ。」
船はマリンフォードを目指し出港した。