第7章 煽情
核心を突くような言い様に、シャチとの会話を聞いていたのだと思った。
だが、一体それが何だというのだ。
なぜ、ローが気にする必要がある。
「あぁ、そうだ。」
私は、ローを真っ直ぐ見つめて返事をした。
ローは眉間に皺を寄せたままだった。
「初めてお前に会った時、お前は己だけを信じる目をしていた。」
「突然何を」
「今のお前は麦わら屋のためなら、平気で自分を傷つける。」
「当たり前だ。船長のためなら何でもする。たとえまた腕が千切れても…治してもらったお前には悪いが」
「そういうことじゃねェ」
ローは苛立っているように見えた。
それが優しさであっても、ぶつけられた遠回しの感情がもどかしいと思った。
私は無言で、ローのいる方へ向かって歩み出す。
すれ違いざまに、私の勝手だろう、と告げると、船内へ戻った。
どんな顔をしているか見ることができなかった理由は、なぜか分からなかった。