第1章 prologue
薄暗い天井が見えた。
意識は朦朧としている。
疲れ果てたときに襲いかかる、睡魔に似ていると思った。
瞼を持ち上げるのも、やっとの状態のようだ。
全身がじんじんと痛い。
本当は、今感じている以上に痛いのだけれども、麻痺してこの程度の痛みになっているのだと思った。
身体は鉛のように重く、動かそうという気すら起きない。
海の中で揺られているようで、気持ち悪いような、息が詰まるような、不安定な空間に浮かんでいる気がする。
ここはどこで、いつからここにいるのか、なぜ動けないのか。
思い出せないというより、考える力もない。
それでも、何か大事なことを忘れていると、頭は訴えている。
考えようと必死になるも抗えず、再び意識を手放した。
薄れゆく意識の中で、誰かの手が、頬に優しく触れた気がした。