第16章 削がれた爪
国民の声が届いたのか、それとも単にオールマイトの膂力が敵に勝ったのか。
最後に立っていたのは、平和の象徴だった。
左手を天に高く突き上げ、血塗れのそれは確かに「平和が勝利」したものだった。
『敵は────…動かず!!
勝利!!オールマイト!!
勝利の!!スタンディングです!!!!』
興奮したアナウンサーの声が響く。
カメラの後ろで、プロヒーローたちが救助活動を続けているのが見える。
しかし、オールマイトはよろけている。
救助活動を手伝えるほどの体力はないようだ。
力強く握られた拳とは対照的に、足には踏ん張っていることができないほどのダメージが蓄積されているらしい。
オール・フォー・ワンが移動牢に入れられていく。
「伝説が…幕を閉じた」
「裏には支配者がいなくなった」
「敵連合は勢いを増すだろうね」
「…俺に考えがある」