第1章 ヒーローは誰だ
ヒーローと敵の違いって、何だろう。
皆一様に、「ヒーローは正義、敵は悪」と言うけれど。
誰がヒーローで、誰が敵なのか。
それは本来、人それぞれ違うはずなのだ。
おまえにとってのヒーローは?
青年の問いに、少女は答えた。
──×××。
少女が彼の名前を呼んだ。
それが少女の言う「ヒーロー」らしい。
しかし、答えになってない、と青年は言う。
少女は笑った。
敵っていうのは、ヒーローに敵対する人。
私のヒーローを、やっつけようと、殺そうとする人だよ、と。
昔、少女の家族は本人含めて4人だった。
それが、2人になって。
1人になり。
そして、2人になって────更に、増えた。
今、少女の周りには沢山の人間がいる。
そのきっかけを与えたのは、隣に座る青年だ。
だから、少女にとってのヒーローは、その男。
青年は、少女の個性に目をつけた。
少女の個性は、彼の望むものに良いアイディアを与えた。
青年は、自らの望むものへと道を進み始める。
少女は当然のようについていく。
周囲に人が集まり始める。
仲間が増え、少しずつ少しずつ、増え続け────