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【名探偵コナン】幸せを願う

第4章 暗転と覚醒


<次は米花、NEXT米花。お降りの際は…>

アナウンスで引き戻された南海は一度首を振って、開いたドアを抜けた。改札を通りバス乗り場を目指す。
辿り着いた場所には五、六人がバスの到着を待っている。視線を反対側のベンチに移すと二人の子供が行儀よく座っていた。一人はスマホに目を落とし、もう一人はきょろきょろと辺りを見渡している。
パチッとタイミングよくメガネのレンズ越しの青と琥珀が絡んだ。コナンの口元が動き、灰原もスマホから顔を上げる。ヒラヒラと振られる小さな手に振り返しながら南海が駆け寄った。

『コナンくん、哀ちゃん!待たせてごめんなさい!』
「そんなに待ってないから大丈夫だよ」
「気にしないで。それより最初は何処にしたの?」

小学生とは思えない気遣いに眉尻を下げながら甘えた南海は二人に顔を寄せ、にっこりとほほ笑んだ。

『まずは…』



◇◇◇



『丁度よく三時のおやつね』

空き地と公園を三人で回り、飽きることのない思い出話に花を咲かせた。コナンがボールを手放さなかった。ここで南海が派手に転んだ。そのどれもに笑いが起き、和やかな時間を過ごしていたが、灰原のサッカー失敗談は途中からコナンがただ只管謝る異空間と化した。

頬が引き攣るほどに笑った南海が復活したとき、公園に設置された時計の長針が十二を指した。

「最後は喫茶店ね」
「ああ。あの時の灰原」
「ちょっと!思い出話は着いてからにしてくれる?」

横断歩道を渡り切って楽しそうに会話をする二人の後ろで南海も頬を緩める。だが、自分たちの表情に気づいてしまったら貴重な子供らしい姿が隠されてしまうかも、と漏れそうになった笑いを顔を横にずらして口元を押さえることで誤魔化した。

『ふふ。……っ!』

そんな浮かれている女の視界に姿だけでもと望み、諦め、焦がれ続けた男が映り込んだ。




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