第2章 中編 古代都市シャンドラ
シャンクスはユーリを抱え込むと、その場を離れた。
砂浜に降り立つと、至る所に落ちている異形の物体。
「シャ、シャンクス…、結界は?」
ユーリは驚きの表情を浮かべて、彼を見上げる。
ポセイドンの持つ結界は強力なものだ。
例え普通の人よりも力があるからといって、そう簡単に破壊できるものでもない。
「…あぁ、彼女を少し脅して、後は自分で破壊した」
何ともないように言った彼から流れている、怒りに近い感情。
その感情の矛先は、ユーリに向けられていた。
シャンクスの目線の先は、穴の開いた胸と、壊れた右腕。
ユーリは彼が言わんとしてることが分かり、気まずそうに視線を逸らした。
「おまえ、人間なんかに怖気づくなよな」
「…あんたも、あの殺気を一度浴びれば分かるわよ」
ポセイドンとプルトンは少し離れたところから二人の様子を伺っていた。
今回の戦いに勝てたのは、運が良かったのもあるが、シャンクスのおかげでもあった。
ポセイドンは先ほどのシャンクスの殺気を思い出し、身震いさせる。
本当に、彼は人間なのかと疑いたくなるほどの力を持っていた。
ーーー人間が、我を倒すというのか…これは面白い
ユーリとシャンクスが無言の戦いを続けていると、不意に響き渡って来た声。
その声につられるように上空へと視線を向ければ、倒したはずの神々がいた。
封印したわけではないので、彼らが復活するのも当然だろう。
ユーリは戦闘態勢に入ろうとするが、それをシャンクスがやんわりと止める。
シャンクスは黙って彼らを見上げていた。