第2章 中編 古代都市シャンドラ
どや顔で宣言している彼は、それはいい笑顔をしていた。
一体どこまで本気で言ってるのか。
古代兵器が数百体いて、漸く対等に戦える相手だ。
確かに彼は強いかもしれないが、無謀にも程があった。
「国王が死に急いでどうするんですか?あなたはあなたのやるべきことをしてください」
国王である彼が、そう軽々しく己の命を捨てるのはどうなのか。
そう言った意味を込めて彼に伝えたのだが、返って来た答えはあっさりしたものだった。
次世代の国王の候補はすでにいる。
命に限りがある彼は、それを踏まえたうえで神々に挑もうとしているのだ。
「…ならば無駄に命を捨てるのではなく、もっと有意義に使ってください」
仮にそうだとしても、国王の立場である彼を巻き込むわけにはいかなかった。
「だから、おれはおまえを愛していると言っただろ?そもそもおれは死ぬつもりはない、いい加減腹を括れって」
「……私を選んだ結果、この国が滅ぶことになったとしてもですか?」
話し合いは平行線を辿る一方だった。
ユーリがこの国に残っても、神々を全滅させれば問題はないかもしれない。
だがユーリ一人だけでは最早太刀打ちできない相手なのだ。
だから彼女は、死ぬ覚悟で彼らに戦いを挑む気でいた。
死を覚悟してるからといっても、むざむざ壊されるわけではない。
相手に爪痕を残すために、わざわざ修復したのだ。
全滅は無理でも、1割くらいは闇に葬りたかった。
「言っておくがおれはそれなりに強いぞ?」
「…へぇ」
「ははっ、全然信じてねぇな」
彼女の素っ気ない言葉を受けても、彼はまだ諦めてない。
シャンクスとて、シャンドラが滅ぶような真似をするつもりはなかった。
己の力を過信してるわけでもなく、それなりの自信があるからそう提案しているのだ。
そもそもこの国で迎え撃たなくても、場所を選べばいい。
幸いも、拠点に出来そうな場所には心当たりがあった。
つまり神とやらが来るまでの間、ユーリとそこで過ごすことができて、ユーリの心配事はなくなる。
一石二鳥だ。
もちろん、そんなこと彼女に言わないが。
「分かった、じゃぁおれと勝負するか?」
未だに納得の出来ない彼女。
そんな彼女を説得するために、彼はそう提案した。