第2章 時代は移ろい
時代は移ろい、大江戸かぶき町は歴史と共に過去のものになった。しかし、かぶき町で馬鹿騒ぎをしていた魂は新たな生を受け、再び波乱万丈な人生を歩んでいた。坂田銀時も例に漏れず、銀魂高校で3年Z組の生徒達とくだらなくも輝かしい日々を過ごす。そんな3Zも、今日は新たな仲間を受け入れる予定であった。
職員室で始業のベルが鳴るのを待っていた銀八先生こと坂田銀時は、ノックもなく開いた戸の先を見つめる。
「やった! やっと会えたね!」
「遅ぇよ。『先に生まれ変わる』っつっときながら何年も待たせやがって、バーカ」
「ぶぅーっ! ちゃんと銀さんを探しだしたんだから良いじゃない!」
「銀さんじゃねぇ、坂田先生だコノヤロー」
みかん箱一杯の柿ピーを手にした少女は間違いなく、前世で出会った幽霊少女だった。明るい性格は健在で、前世で違う所と言えば彼女が生きている事だけだろう。挨拶代わりの掛け合いも昔の会話を思い出させる。
すぐに始業ベルは校内に鳴り響いて会話は強制的に終わったが、二人が気にするような事ではなかった。早々とクラスへ向かい、その道のりで銀時が箱一杯の柿ピーの事を尋ねた。どうやら前世で銀時と分かれた後、美羽は銀時に依頼料を聞き忘れた事に気付いたらしい。戻って問いただすのも面倒に感じ、そのまま仙望郷へ向かったのだ。そこで幽霊旅館で働くレイと出会い、銀時の話をし、仙望郷で銀時が柿ピーをボリボリ食べてた証言情報を手に入れた。それを元に美羽が辿り着いた結論は「銀時は柿ピー好き」と言う的外れな結果であり、情報の正確さを確認せずに大量に買い込んだのだ。