第2章 スタンド使いの女
朝登校に突如起きた事故にヒヤヒヤした女子高生たち。
承太郎を囲んでケガを心配するが、当の本人は全くの無視で石段から落ちた際に乱れた制服を整えていた。
ハッ
誰かの視線を感じ石段の方を見た。
シュギィィィン
自分と同じ登校中の高校生がこちらに向かってきた。
スッ
男はポケットからハンカチを差し出した。
「君…左足を切ったようだね…」
「……」
承太郎は注意深くその男を見ていた。
さっきの保有者不明のスタンドや原因不明の傷もあり、いつもより注意深くなっている。
「このハンカチで応急手当てをすればいい。大丈夫かい?」
「……ああ、かすり傷だ」
ハンカチを受け取り、用が終わったその男は背を向けた。
「待て」
承太郎は呼び止めて、男の顔をよく見た。
「ありがとうよ。見ない顔だが……うちの学校か?」
「花京院典明。昨日転校してきたばかりです。よろしく」
花京院は立ち去り、承太郎はまた考えた。
自分の学校の関係者でなければ、ひょっとしたらさっきのスタンドの本体かと疑った。
しかし、あの男ではなさそうだ。
なら、一体誰なんだ…?
〈学校 保健室〉
その後承太郎は、傷の手当てのためこの場所に来た。
その傷を見た女医は、こんな朝からケガを負うことを不可解に思った。
「ジョジョどうしたのそのけが?まさかまたケンカしたんじゃないでしょうね!帽子取りなさい帽子を。態度悪いわよ」
取ろうとすると、椅子に座ったままよけられた。
「本当にもう…」
そばにはズル休みを図る男子生徒たちもいる。
「傷は見たところ全然悪化してないわ。むしろ血も出てないし、ほとんど治りかけているわ。保健室に来てなかったとしても問題なかったくらいよ」
女医も認めるほどの手当て。
「取りあえずは、ガーゼは張っておきましょう」
一方、承太郎は未だにあのクマのことで引っかかっていて、ぼーっと考え込んでいた。
(仮に、あのスタンドは俺を意図的に助けたとして、何故そんなことをした?)
俺がスタンド使いだと初めから知ってたのか?
しかし、発現したのはほんの数日前。
学校も牢屋以来今日が初めての登校だ。素人に見えない上に、誰も知ってるわけねえ。