第14章 告白と小さなお別れ
「あ?」
承太郎がベッドから半分起き上がる。
(あ…!ぼ、僕は何を…!!)
まずいまずいまずいまずいまずいまずい。
花京院の心の中は警告音と同じ言葉でいっぱいになる。
頭の中でも、言葉とサイレンが不協和音を奏でるように響いて、クラクラした。
(ぼ、ぼ、僕は一体、何を言っているんだ…!!)
確かに承太郎は女性に強く当たる割りには、由来に優しいというか。
だからといって、承太郎に女性関係のことを指摘するなんて……
花京院は、学校で承太郎にボコボコにされたことを思い出した。
前は肉の芽に支配されたから、致し方なかったことだが、今回は明らかに自分の非である。
体中に穴が空くようなラッシュはされなくても、一発は殴られるかもしれない。
(確かに前から薄々思っていたが、何で声に出してしまっ……)
「なあ花京院。今、なんつった?」
承太郎はドスの利いた低い声で語りかけてきた。今に限って、悪魔のささやきのようにも聞こえる。
「す、すまない。今言ったことは忘れてくれ。ほんの冗談で…」
「質問の答えになってねえぜ。俺は、てめーが今言った質問がよく聞き取れなかったから、「もう一度聞きたい」と言ったんだ。言えよ」
承太郎は静かに足を下ろして、膝の上で腕を組んだ。
首を傾けて、花京院を見上げるように目を合わせる。
この時、花京院は思った。
承太郎の場合、“質問”というより、“尋問”と著した方が正しい。
思春期特有の男子高校生らしく、「お前、あの子が好きなのかよ~?」とかの雰囲気はまるでない。
ここでまた何か言い訳を繰り返せば、恐ろしいことが起きる気がして、花京院は勇気を出して、正直に声に現した。
「じょ…承太郎が、彼女のことを……す、好き、なのかなって」
「……由来のことか?」
「あ、ああ」
「なぜ、そう思った?」