第2章 スタンド使いの女
学校から離れた場所で、人気のないのを確認して一旦止まった。
「てめえには聞きたいことが山ほどある。取りあえずお前は何者だ?もっとも、逆にお前も俺に用があるらしいが」
朝もあんなマネをして、保健室の寝台に潜んでたくらいの用が
他人様の高校の保健室で昼寝してたってわけじゃあなさそうだしな
「……」
フードからチラッと見える赤い瞳が、承太郎をまっすぐ見つめた。
ゴゴゴゴゴ
2人の間の空気がピリピリする。
「ケガ…もう治った?」
女は質問を質問で返した。
それは朝の膝のことか、それか今さっきのことかどっちなのだ。
「それより、てめーがさっき火だるまになってたじゃあねえか」
「まあ……ごもっともだね」
女は承太郎の正論で苦笑いを浮かべる。
女の方はというと、見たところ外傷があるとすれば万年筆で刺された左頬の深い傷口。
白いトレーナーに血が滲んでしまってる。
ひょっとしたら、さっきの火で火傷も負ってるかもしれない。
「まさか…あんな攻撃で私の居場所を突き止めるとは。カーテンに燃え移ってかなり焦ったさ。でも火でよかった。自分の能力との相性が良かった」
その割には落ち着いた声だ。傷を気にしている様子はなかった。
(やはり…さっきの雪がコイツのスタンド能力で間違いなさそうだな…ん?)
承太郎は急にあることを思い出す。
(この声。どこかで……)
ほんの最近に…
コイツとは初めて会ったはずだ
「あんたには助けられたよ」
背が高い相手に自分の顔が見えるよう、女は自分のフードを少しズラして視線を上にした。
「!?」
承太郎は初めてその顔を見た途端表情を変えた。
黒髪。赤い瞳。
あの夢に出てきた、同じ顔!
「てめえ…!」
「?」
女は何故そんなに驚いてるのかと疑念に思いつつ、取りあえず質問に答えた。
「名乗るほどじゃあないけど、兎神由来っていうのが私の名前。ご察しの通り、アンタと同じスタンド使い」
この物語は、DIOを倒すために立ち上がった者たちの冒険
そして彼女がのちに、DIOを倒す重要な鍵を握る人物になることは誰もが、また彼女自身も思いもよらなかった…