第1章 【プロローグ】
【とある雛鳥の独白】
私は雛鳥。
まだ、この大空を舞うことも、
大海を渡ることもできない雛鳥。
この翼が届く範囲はまだまだ狭い。
大切なものは隙間から零れ落ちてしまう。
きっと、今のままでは何も掴めない。
私には、
この世界での居場所もないし、
特別な力もない。
存在している意味すら分からないけれど。
進まないと。
どれだけ辛くても、歩かないと。
ゴールにはたどり着けない。
そのゴールがどこかも分からないけれど。
でも辛くて、辛くて。
どうしようもなくなってしまった時。
どうか私に翼を休める場所を下さい。
どうか私に安らぎを下さい……