【ハンターハンター】暗殺者のクオーレ・プーロ【イルミ】
第5章 California Poppy -拒絶しないで-
あれから一ヶ月。
嫌な思い出がたくさんあるあの屋敷に住み続けたくなくて、家を取り壊し、土地を売却した。
それまでシュピールツォイクに仕えてくれたバトラーやメイドのみんなには、各地にあった別荘の一部や土地を売って多額の退職金を渡した。
フランとベラードにも漏れなく退職金を渡した。
でも、そのお金を受け取ることなく拒否され、会社の手伝いと私と共にいたいと言ってくれた。
けれど、ずっと住み込みで働いて世話や雑事をこなしてくれていたから、フランとベラードにプライベートなんてきっとなかった。
だから、せめてしばらく休暇を取って自分のことをしてもらいたいとお願いしたらーー…
ーー…「私とフランシスカはお嬢様を生まれた時から見てきました。その成長と行末を見守ることがこのベラードの唯一の楽しみなのですから…」
ーー…「乳母としてお嬢様のお世話をしてきましたが…僭越ながら本当の娘だと思って接してきました。ですから…そんな寂しいことを仰らないで。いつだって、私たちはあなたの味方ですよ」
その言葉がどれほど嬉しかったか…。
私には本当の家族なんていないと思っていたから、私を娘だと思ってくれているのなら私も二人を家族だと思っていいんだと…そう思って胸がいっぱいになった。
だから、尚更自分の時間を持って欲しいと頼んだら渋々二人とも承諾してくれた。
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