【ハンターハンター】暗殺者のクオーレ・プーロ【イルミ】
第15章 Purple Anemone -あなたを信じて待つ-
待ち合わせは今日。
今日が過ぎる前に、必ず彼は私と会ってくれるはず。
私に答えを聞かせるためにーー…
「元々、ここで何時に待ち合わせしてたんですか?」
「特に決めてませんわ。今日この広場で、とだけ…」
「…そうか」
帰ろうとしていた彼がまたベンチに座り直した。
「お帰りにならないのですか?」
「こんな夜遅くに外で女性を一人にしておけないだろう」
なんて紳士な方なのかしら。
本当なら「私のことは気にせずにお帰りになられた方が…」と言うべきね。
でも、噴水の明かりだけを見続けながら、一人真夜中の広場にぽつんといるのも退屈で心細い。
「なんだか、申し訳ないですわ」
「俺から声をかけたんだ。お気になさらず」
お言葉に甘えてしまっても、彼はちょっとだけ笑ってまた本の表紙を眺めた。
表紙には『il Cuore Puro (イル・クオーレ・プーロ)』。
『美しき心臓』、か…。
彼が夢中になって読んでいた本。
どんな面白い本なのか、私もちょっと気になる。
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