【ハンターハンター】暗殺者のクオーレ・プーロ【イルミ】
第13章 White Margaret -恋の行方-
「でも、殺せなかったんだろう?怖かった?それとも、自分が犯罪者になるのが嫌だった?」
イルミの血の通っていない言葉に、ベラードは思わず立ち上がる。
「見くびらないでいただきたい…!何度貴殿のような裏の人間に交渉したことか…ッ。しかしそのどれもが失敗…。裏社会に通ずる旦那様には全て筒抜け。お見通しでした…」
ベラードはうつむいて「くっ…」と歯を食いしばりながら声を絞り出した。
「それでも…ッ、それでも旦那様が我々を使用人として雇い続けたのはーー…」
「お嬢様を思う私たちに…お嬢様が苦しむ姿を見せるためです…っ!それこそが私たちへの罰だったのです…!それなのに…お嬢様は私たちに悲しむ顔を見せまいと懸命に笑顔を取り繕って…っ」
フランシスカは耐えられなくなり、両手で顔を覆い、肩を震わせながら嗚咽を漏らす。
「あの男は悪魔だ!お嬢様は生まれてからずっと…苦しくつらい思いばかりされて…。我々が不甲斐ないばかりに…ッ」
ベラードは憎しみと悔しさを拳に込めて握り締め、ぶるぶると怒りに震えている。
フランシスカははぁと息をついて涙を拭うと、小さくつぶやいた。
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