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黒子のバスケ*Short Stories3

第37章 デレたっていいじゃない*高尾*


「ちゃーん、出来たぜー!」

「はーい。」

台所へ駆け寄れば、彼の手から料理を並べたトレーを渡された。

色とりどりの具材と食欲をそそるケチャップの香りが鼻を掠めるナポリタン。

小さなテーブルにお皿を並べて、フォークを置いて、グラスに冷蔵庫から取り出したお茶を注ぐ。

手を合わせていただきますをして、パスタとウインナーを一緒に口に入れたら、ふわっと口中に幸せが広がった。

「…おいしい!」

「だろ?こういうワンプレート系は楽だからな。よく作るんだよ。」

リズムよくフォークを進める私を満足気に眺める目の前の彼。

「…和成しれっと料理上手で、なんか悔しいんだけど。」

「自炊してたらこれくらいやれるようになっから。」

「まだ一人暮らし始めて一ヶ月くらいしか経ってないじゃん。」

「まぁ、家でも親いない時は妹ちゃんと飯作ってたしな。」

私も全く出来ない訳じゃないけど、台所での立居振舞は確実に和成の方が上だった。

女子としては、何か複雑。

ちょっとむくれていると、和成はぶっさいく!なんて言ってケラケラ笑っている。

でもそんなふてくされた顔でも、お手製のナポリタンを口に運べば口元が綻んでしまう。

「…ごちそうさまでした。せめて片付けはさせて!」

「はいはい。じゃあ、頼むわ。」

余裕がない私の様子に見かねたのか、頭に手を軽く乗せてにかっと笑顔を向けてくれた。

…私がその顔好きなの知ってやってるな。
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