第31章 サクラサク*宮地*
運命の日。
私は家のパソコンの前で約束の時間を迎えるのを待っていた。
時計の長身が12に重なりテレビ番組も始まった瞬間に、運命のボタンをクリックした。
画面と自分の受験番号を何度も見返し、結果を実感した上で携帯の画面に彼の名前を表示させた。
大学も今は春休みだし、電話かけてもいいかな。
でもバイト中かな?
…まぁ、いいか。
少し躊躇ったけれど、通話ボタンをタッチした。
2回目のコール音が鳴り終わる前に電話の向こうから彼の声が聞こえてきた。
「はいよ。どうした?」
「あ、清志先輩!今大丈夫ですか?」
「ああ。…結果出たか?」
「はい。…受かりましたよ!先輩と同じ大学!」
嬉しくて嬉しくて気持ちも落ち着いていないから、ついつい声も大きく弾んでしまった。
でも一番に伝えたかったのは先輩だから。
「お前今家?」
「はい、そうですよ。」
「10分で行くから一歩も出るなよ。」
「…え!?先輩今どこに…」
言葉を言い切る前に電話は切られてしまって、私は携帯を手に少しの間思考回路が停止していた。
先輩の家は電車で15分くらい先の駅だし、バイト先も確か家の近くだったはず。
とりあえず「先輩がこれから来る」という事実は変わらないので、せめてお気に入りの服に着替えることにした。