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黒子のバスケ*Short Stories3

第22章 君以外からはいらない*赤司*


「赤司くん…。」

彼の名前を呼ぶと、ゆっくりと私の元へ来てくれた。

「…それは捨てていいものなのか?」

「え…?」

中身は昨日赤司くんを想って作ったトリュフ。

もちろん簡単に捨てていいものではない。

目の前に赤司くんがいる今しか渡せない。

ありったけの勇気を振り絞って、赤司くんに紙袋を差し出した。

「…これトリュフなんだけど、赤司くんに渡したかったの。でももらってくれないかもしれないと思ったら渡せなくて…」

緊張しすぎて言葉がうまくまとまらない。

すると、赤司くんが私の瞳を真っ直ぐ捉えて口を開いた。

「今日はバレンタインだ。チョコを異性に渡すということは、そういう意味だと思っていいのかい?」

この言葉を活かせなかったら、この先ずっと後悔する。

もらってくれなくてもいい。

ふぅっと息を吐いて、赤司くんの綺麗な赤と黄の瞳を見つめた。

「うん。…私、赤司くんのことが好きです。…受け取ってくれませんか?」

すると赤司くんはあの穏やかな笑みを見せて、私の手から紙袋を受け取った。

「ありがとう…。僕も同じ気持ちだよ。…君のことがずっと好きだった。」

もらってくれれば最上級だと思っていたのに、それを上回る言葉まで赤司くんはくれた。

今まで生きてきた中で一番素敵なバレンタイン。

--------------

「…今日赤司くん、チョコいっぱいもらってたから無理かと思ってた。」

「…あぁ。彼女たちのものはもらっていないよ。…僕は君以外のものはいらない。」

「ふふっ…。ところで練習は?」

「君の姿が体育館の外に見えたから休憩にしてある。…今日一日どこか落ち着きがなかったから、少し期待してしまっていた。」

「え!?気付いてたの!?…恥ずかしい。」

「…君だからだ。目に入っていたわけではなく、目で追っていたのだから…。」


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