第13章 また新たな記憶
目を覚ますと体が重く感じた。それは横に寝ている男が抱きしめているのと腰に異物感がほんの僅かだけどある事だ。
そこで自覚をして顔が熱くなる。
あぁ、私達はついに体の関係になってしまったのか。
一度もなったことがない体関係。しかし、それは幸福感でいっぱいになった。まさかこんな美人さんに抱いてもらうなんて思いもしない。しかも、愛してもらっている。
こんなに幸せなことがあるか、ずっとこのままで居たいほどの気持ちになる。
「雪花……?」
「あ、お、おはようございます!」
何だか気まずいような気持ちになり、顔をそらす。
すると横からクスクスと笑い声が聞こえてきてもっと恥ずかしくなる。え、私だけが緊張しているの?
「……零は意地悪ですね。」
「もしかして、記憶が戻ったのか?」
へ、記憶が戻った?自覚をした瞬間、まるで乗り物になっているみたいに次々に景色や情景が浮かびあがり涙がポツリポツリと溢れかえった。なんでこんな時に戻るのだろう。
零は何も言わないで私の頭を撫でた。少し前に慰めてくれた時と同じく何か落ち着くような気持ちになる。
「零、零。本当にごめんな、さい。私、まだ、信用して、なかった。」
「……。」
「だから、零の名前を忘れてしまったと思います。この、名前大好きなのに。」
前に起きた出来事を今思い出した、元彼に言われて嫌になって私のことをまだ裏切っているんではないのかと疑いの目をかけた。でも、もう裏切らないって約束したのに私が信頼しなくてどうするだ。
「零の方が、泣きたいのに。本当に、ごめんなっ!?」
涙を拭った瞬間に目の前に零が来た。唇には、暖かい感触。近くで零と目が合ってドキっと胸が鳴る。
こんな時なのに私はなんでときめいているんだ。