第9章 崩れていく
「お、お久しぶり!百合ちゃん。」
「お久しぶりだね、元気にしていた?」
百合ちゃんからここに来てと言われてついた先には、なんとおしゃれなBARだった。
ディナーとかいうから、少し服装とか洒落ているものを着てくだけれど本当にそれで良かったと思っている。
中に入ると黒とオレンジを貴重にしたおしゃれな空間で恋人や1人で飲んでいる方など様々な方々いた。
その中でも百合ちゃんはなお似合っている。
隣に座ると微笑まれてお酒を頼まれた。
「カシスオレンジで勝手に頼んじゃった。あと、やっぱりその格好似合っているね。」
「あ、ありがとう!百合ちゃんも言ってくれれば、もう少し大人っぽい格好で行ったのに。」
「雪花はこのままで良いの。」
私は、このままで良い?じゃあ、服装は大丈夫だということか。そう思っているとおまたせしました。とバーテンダーがカシスオレンジを置くと百合ちゃんがカクテルグラスを持っていたので、持つ。
「乾杯。」
「乾杯!」
お、美味しい。思った以上に美味しくて少しグイグイいけていまう気がした。百合ちゃんを見ると微笑んでいる。
そうだ、聞きたいことがあったんだ。
「百合ちゃん、大丈夫なの……?なんだか大変そうだけども。」
「えぇ、大変よ。私、追われているもの。」
お、追われている!?百合ちゃんはなんでもない顔でカウンターを見ている。その姿でさえ、なんだか儚く見えてしまった。
「元彼、関係だよね?」
「まぁ、そう。」
「でも、百合ちゃん関係ないのに酷い……。」
「酷いか。」とボソリと独り言を呟いた百合ちゃん。
だって百合ちゃんはきっと知らずに付き合っていたから何も関係はないはずだ。
まだ残っているカシスオレンジを飲み、百合ちゃんの様子を伺う。
「やっぱり、雪花は変わってなくて良かった。でもね、1つだけ教えてあげる。」
「何を?」
「あなたの周りには沢山敵がいる。て事をね。信頼している人でも隠していた牙は突拍子もなく出てくるの。」
隠していた牙は出る……?よく分からなくて聞こうとしたらなんだか眠くなってきた。あれ、いつもだったらそれぐらいじゃ酔わないのに。疲れが溜まっていたのかな?
グラグラとしている視線の先で、見えたものは悲しそうに微笑んでそうな百合ちゃんだった。