第8章 二言はなし
オムライスを食べて、皿洗いをしてお風呂に入っては零さんと入れ替えに出てきた。
そうして、スマホに耳を当て発信をすると『はい。』て知っている人の声が聞こえてきてホッとする。
「ゆ、百合ちゃん!もしもし?良かった、繋がった……。」
『雪花、どうしたの?』
「あのね……、元彼が麻薬の運び屋だって知ってた?」
ゴクリと息を呑みこみ、百合ちゃんの話を待つ。
しかし、数分間は何も話してくれないがやっと声が聞こえてきたと思えば溜め息だった。
『知ってる。ニュースで見た。』
「そうだよね!百合ちゃんは大丈夫?あの、変な人に追われて、ないとか。」
『そのことについて相談があるんだけど、明日ディナーに行かない?』
「で、ディナー!」
なんておしゃれな言い方だ。というか、もしかして追われているとか!?「け、警察にはいったの?」と聞いたが返事はNOだった。もしかして、百合ちゃん自体は何かの冗談だろうと思っているのかな?
で、でも!!
「相談とか、しておいた方が」
『大丈夫!あとさ、その事は彼氏に秘密にしておいて。あんたの話聞いている限りでは、嫉妬で殺されそう。』
「あ、あのね、い、色々とあり、わ、別れました。」
「はい?」
何だか違う人の声が聞こえてきたけれど、気にしないで百合ちゃんと約束をする。詳しいことはLINEで話すらしいのでそれを待つことにして震える指で通話の終了ボタンを押した。
恐る恐る見ると腕を組み、まだ乾いてなく濡れている髪をそのまま遊ばせている零さんが見えて顔は何だか笑っているけれど……うん、目は笑っていない。
「なんで間抜けな顔をしているだ。」
「ご、ごめんなさい、不覚にも、と、ときめいてしまいました……。」
意外と私はそういうタイプが好みかもしれない。
安室さんとは違うタイプにキュンっとくる。簡単に言えば、ギャップが大好きというわけだ。
顔を隠していると溜め息が聞こえてきた。