第1章 殺される。
「もしかして、初めてのお方ですか?」
メニュー表を見ていると凄く感じの良さそうな女性の店員さんが私のところまできてにっこりと笑いかけてくれた。優しそうなその笑顔に泣きそうになってくるがそれを耐える。
「は、はい……、初めてです。アイスミルクティー1つお願いします。」
「アイスミルクティー1つですね。かしこまりました。」
何かを悟ってくれたのか何も詮索せずに笑顔で対応してくださった。普通の方だったら、『可哀想。』なんて同情を含んだ表情で私を見てくる。ここが犯罪が多い米花町ゆえ慣れているのか、それともあの方の優しさなのか分からないけれど私にとっては凄く心が落ち着いた。
そうだ軽食するはずだったのにミルクティーしか頼んでないや。
そんなところで自分の馬鹿さに嫌気が差してくる。
「ねぇねぇ、お姉さん。なんで泣きそうな顔をしているのー?」
「え?」
横を見るとさっきまで女子高校生?2人組にいた大きな眼鏡をかけた男の子が私を純粋な瞳で見ている。
その目には頬に大きなガーゼをつけている私が写りこんでいた。そんな姿を見たくなくて目線を違う方へ向ける。
「……気のせいじゃない、のかな?」
「ふーん。そうなんだ、でも、凄くお姉さん今も……。」
「コナンくん!!」
さっきまで一緒にいた女子高校生ぐらいの子がコナンくんと呼ばれた子に行き、私に謝る。そんな謝られる人間でもないんだけどな。
そう思っていると「おまたせしました。」なんて男性の声が聞こえてくる。