第5章 あらたな
「ここが台所です。ご飯は自分でいつでも作ってください。」
「安室さんの分も作った方がよろしいですか?もし良ければ、作りますよ。」
「食べてみたいのですが、生憎探偵の仕事などで家に帰る事が少なくなってくるのでまた連絡させて貰いますね。」
どれだけ探偵の仕事が忙しいのかは分からないけれどきっと張り込み?とかしてそうだな。でも、安室さんって探偵よりも前の行動とか見ていて警察の方の方が似合うのではないか。と思い始めてきたがそれは安室さんの人生なので言わないけれど。
自分自身も仕事に復帰すること(少しお休みを貰っていた)を伝えておいた。
「不定期なので、なんでも使ってもいいですからね。」
「ふ、不定期……。」
「不安なのですか?」
不安というか、恋人でもない人に家を開けていてもいいのだろうか。安室さんは私の疑問を感じ取ったのか「雪花さんだからこそ、任せられる点もありますし……、あと何もない家なので。」
笑われてしまった。……私の疑問はおかしくないはずだ。
「それと雪花さんにアタック出来るからですかね?」
「……なぜ、私に好意を持ち始めたのですか?」
「一目惚れに意味なんてありませんよ。」
一目惚れ。一目惚れでそんなに私に良くしてくれるのか。安室さんの心が広い気がしてきて罪悪感を感じる。
手を頬で触っているとガーゼが入ってあった部分に触れられた。
「外れて良かったですね……、あと僕の欲なんですけれど雪花さんの男関係とか知りたくて。」
「男関係……。あの元彼しか付き合ったことはないですよ。というか、なぜ?」
「男は好きな女の過去も知りたいのですよ。」
私の過去を知りたい。普通に暴力を振るわれていて、挙げ句の果てに浮気をされて。それ以外は元彼は工場?とかどこかに行っていたし。ただのサンドバック代わりだったと思う。
知っているけれど深く安室さんに話せるものではない。笑って流しておいた。