第4章 なぐさめから
「慰めてからなんてズルいとは、分かっています。
しかし、生憎僕は"欲しい"と思ったのはとことん手に入れなければいけないサガでね。」
"欲しい"なんて言われたことはあっただろうか?
ずっとおもちゃ扱いをされてきた私には、何もそんな言葉もなかった。最終的には、髪の毛も切られてしまって。
覚えのない言葉に目がうるうるとしてきた。
あぁ、この人だったら私が求めていることをしてくれる。
「……でも、一緒には暮らせません。本当に申し訳ないですもの。」
「なんでも言っているじゃないですか、そこらへんは平気だと。」
どうしよう、本格的に断れなくてなってしまった。
正直に言って、安室さんだったら何もしないと思えてきた。目は優しくて、私の求めていることも対応してくれて……。
「それでは、引越し先が決まるまで。はどうでしょうか?寝室は、別々ですので。あと、お母さん達も心配していましたよ?」
「……本当に良いのですか。」
あんな事があったのに男の人と暮らすなんて私はどうにかしているらしい。しかし、安室さんだったら信じられる気がした。……まぁ、大体は断れない。という理由は大きいけど。
周りの目線も痛くなってきて、こくり。と縦に首を振ってしまった。
すると安室さんは嬉しそうに笑っては「良いですか?!」と声を上げた。……断れる雰囲気を作らなかった安室さんが一枚上手だったららしい。