第8章 犬猿の仲
雄英を卒業したヒーローは何を思うだろうか。
さっきまでヒーローである自分達が敵に操られていた事。
エンプレスについて知っているにも関わらず、初対面で気付けなかった事。
デクはシェイドから未だに漂う静かな殺意と狂気を肌で感じながら彼女へ問いかける。
「エンプレスとは、どこで知り合ったの?」
『小学校です。私は彼女が消したクラスに居ました』
「え、でもさっき、皆死んだって……」
『誰が “1人残らず死んだ” なんて言いました?私以外にも生き残りはいますよ。彼女の個性から解放される条件は案外簡単で、他人の手によって血を流せば一瞬です』
「じゃあさっき、きりし……烈怒頼雄斗が硬化した状態で平手打ちしたのは、……やっぱりか」
『そうです。因みに、私が彼の腕に切り傷を入れて個性を解きました』
烈怒頼雄斗は包帯の巻かれた右腕を見せる。
外が騒がしくなってきた。人の騒めく声が少しずつ大きくなってきてる。
シェイドは玄関扉を引き開けた。騒がしい声がより大きくなって、シェイドを照らす。
外は昼間のように明るく、デクは一瞬、今が深夜だという事を忘れかけた。
『さぁ、答えあわせの時間です』