第7章 灯台下暗し
『あと……2人……』
シェイドがそう呟いて歩き出すと、
「待てって」
烈怒頼雄斗に阻まれる。
シェイドは虚ろな目を烈怒頼雄斗に向けて肩で呼吸をしている。
「あとは俺に任せろ」
『……そういう訳には、いきません』
烈怒頼雄斗の申し出をシェイドは断ったが、烈怒頼雄斗に肩を揺すられて膝から崩れるように座り込んだ。
「そんな状態で何をする気だよ」
烈怒頼雄斗は苦笑いを浮かべて、階段を上っていく。
彼が1階から居なくなると、デクは座り込むシェイドに近付く為に立ち上がる。応急処置をされた左肩を庇いながら歩みを進めるが、3歩くらいで止まる。
「どうして、ここに?」
デクの問いに答える者は薄ら笑いを浮かべる。
場所が変わってここは2階。
烈怒頼雄斗は硬化した右手で、両腕に手榴弾を模した籠手をつけた男を不意打ちで平手打つ。
「何すんだテメェ!」
「よお、目ぇ覚めたか?」
「あ?」
殴られて頬から血を流す同級生を、烈怒頼雄斗は笑顔で見守る。
「……取り返しのつかねぇ事になってねえか?」
「ご名答。じゃあ1階に集合な。俺はもう1人起こしてくる」
烈怒頼雄斗はどこか楽しげな足取りで、廊下の角を曲がって行く。
烈怒頼雄斗が “もう1人” を連れて1階に戻ると、大変な事になっていた。