第2章 どんぐりの背比べ
赤髪のヒーロー、赤髪のヒーロー、赤髪の……
『レッド……ライ……オット……?」
どうにかして絞り出した記憶から出てきたヒーロー名。
間違っていたら凄く失礼だ。
でも、それは杞憂だったようで
「おお!正解!」
赤髪の青年__烈怒頼雄斗は嬉しそうだ。
先程から、爆豪はこの会話を特に気にした様子が見られない。
と言うより、シェイドから名前を聞き終わった辺りから、腕時計を見ながらイライラしているようにも見受けられる。
シェイドがチャージズマと烈怒頼雄斗の喜ぶ姿を黙って見ていると、爆豪が突然言った。
「お前、この辺の地図覚えてんのか?」
怒りが混ざっているように感じるその声色。
シェイドは推測はできるが、意図が読めないその質問にひとまず答える。
『ほどほどに、です。でも覚えました』
「じゃあ、この近くにあるって言うビジネスホテルに案内できるか?」
そこですかさずチャージズマがツッコミを入れる。
「検索すりゃ出てくんだろ、そんなもん。つーか予約したろ?」
爆豪は黙ってチャージズマの目の前に、自身のスマートフォンを突きつける。
チャージズマが訳も分からず画面を見てみると、右端に見えたバッテリー残量に目を見張る。
「は!?2%!?こんな数字初めて見たわ!」
「一昨日から充電してねえ」
「なんで?!」
チャージズマと爆豪の会話を聞いていると、チャージズマと烈怒頼雄斗のスマートフォンのバッテリー残量も少なそうだ。
シェイドは、先程の爆豪の質問の意図を察した。
『私でよろしければ、案内します』
チャージズマと烈怒頼雄斗はぱあっと笑い、爆豪は喜ぶどころかイラついてそうだ。
『(眠くなると機嫌が悪くなる人なのかな?)』
シェイドは勝手にそう解釈した。