第2章 ***
「それじゃあ陽菜ちゃん、またね。おやすみ」
「…おやすみなさい」
私を家まで送ってくれた蛍くんは、そう微笑んで帰っていった。
(…ハァ……今日もまた何も無かった…)
彼氏である蛍くんと付き合い始めて早半年…
彼とはすでに何度かHもしていたが、最近はすっかりご無沙汰で。
今日だってきっちり22時には家に送り届けられてしまった。
(…蛍くん…私に飽きちゃったのかな……)
その割には変わらず優しくしてくれるし、忙しい合間を縫ってこうやってデートもしてくれるのだけれど…
彼との出会いは1年半前。
彼は、私が大学受験の為に通い始めた予備校の常勤講師だった。
完全に私の一目惚れ。
優しくて教え方も上手で、しかもイケメン。
当然彼に想いを寄せる女子生徒は多く、私もその中の1人だった。
その後無事志望校に合格した私は、思い切って彼に想いを告げようと決意。
彼にとって私は生徒のうちの1人…それに年齢だって10コも離れている。
けれどもう二度と会えないと思ったら、居ても立っても居られず私の方からダメ元で告白したのだ。
返ってきた答えはまさかのOK。
「ありがとう…嬉しいよ」と笑ってくれた彼の顔を今でも鮮明に覚えている。
そして付き合い始めて3ヶ月程経った頃、私と蛍くんは結ばれた。
私にとっては初めてのH…
彼は最初から最後まで私の事を気遣ってくれ、本当に幸せなひと時だった。
あれから更に3ヶ月…
夏期講習の時期で忙しそうだった彼もようやく落ち着き、最近はまた以前のように定期的に会えるようになった。
けれど今日も、Hはおろかキスだってしていない。
映画を観てショッピングをして、ご飯を食べただけ。
それはそれで楽しくはあるが、それだけでは物足りなさを感じている自分がいた。
(蛍くんは平気なのかな…私とHしなくても…)
「ハッキリ本人に聞いてみれば?」
「……、」
翌日。
大学の友人である知佳に蛍くんの事を相談すると、キッパリそう言われた。
気になる事があるなら、うじうじしてないで本人に聞けと…
(それが出来ればこんなに悩んでないよ…)
「だって…もし本当に『飽きた』って言われたら私……」
「じゃあずっとこのまま、恋人らしい事もしないでズルズル付き合うの?」
「そ、それは…」
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