第1章 隠された想い〜信長〜
あかりは驚いた。あの第六天魔王と呼ばれ、恐れられている信長が素直に謝ったからだ。
信長「……なぜそんな呆けた顔をしている。」
あかり「だっ…だって…。」
信長「俺が謝ったのがそんなに驚くことなのか?」
あかり「!?」
えっ!…うそ!?ば、ばれてる…!?
あかりはあたふたし始め、その様子を見た信長は「ふっ」と鼻で笑った。
信長「やはり貴様は見てて飽きんな。」
あかり「なっ!?からかいましたね!?もぅ!せっかく許してあげようかなって思ったのに!」
信長「随分と上からだな。」
あかり「信長様には言われたくありません!!」
信長「…」
あかり「…」
信長・あかり「ふっ…あははははは!」
なんだかもう可笑しくてお互い笑いあっていた。
ようやく笑いが収まった頃、信長が口を開いた。
信長「ふぅ…俺にそんな風に物申すのは貴様だけだぞ。」
あかり「私も…あんな風に言うのは信長様だけですっ。」
信長「生意気なことを言う。」
そう言いながらも信長の顔は穏やかで、優しく微笑んだ。
あかり「…っ…///」
信長「…あかり。」
あかり「は、はい…。」
信長「…貴様が何より愛おしい。そばにいろ。貴様が少しでも俺のそばから離れたら承知せん。」
あかり「っ!の、信長様っ!」
信長「なんだ。異論なら認めんぞ。」
あかり「そ、その…わ、私もごめんなさい…。怒って、勝手にお城から飛び出しちゃって…そういう所が子供っぽいんですよね。」
信長「…」
あかり「…少しでも信長様に釣り合いたかった。あのお姫様みたいに…。」
何か自分で言ってて傷つくなぁ…。
だんだん顔が下を向いてきた時、信長が顎を掬った。
信長「誰が貴様と俺が釣り合わんと言った。」