第2章 黒の時代
部屋に戻り
暗い部屋のソファに腰を下ろした。
ふぅ、と息を吐き上を向いた。
嗚呼…なんでだろ
何かが心に溢れてる。
声にならない嗚咽が漏れる。
気が付けば涙が流れていた。
「さよなら」と告げた葉琉の顔
「有り難う」と云った中也の顔
私の中の『一番』が葉琉ではなかったように
葉琉の中の『一番』も私では無かったと云うこと
これ以上葉琉を
私に縛り付けたくない。
葉琉には葉琉の幸せを見つけて欲しい。
こんな私が温かい幸せを願ってはいけない。
だって葉琉は中也が…
それでも葉琉はあの瞬間、太宰さんを選んだ。
それ程の大きな何かが起こったんだ。
否、私が止められなかったらのだ。
葉琉はこれから
人を助けて生き続けていく限り
織田作さんを忘れないだろう
織田作さんの死に目も
その度に思い出すんだ
私の罪を
葉琉は私を許さないだろう
ならば許されない女でいよう
葉琉にずっと恨み続けられる
それが自分への罰だ
ずっと一緒にいたいと願った妹
大好きな妹
さよなら……葉琉
そして、舞台は四年後へーー