第12章 DEAD APPLE
ポートマフィア本部のとある部屋。楕円型の机を更に囲う様に座り心地の良さそうな椅子が二十名分程並んでいる。何処かの役員会で使用しそうな会議室だ。正面には大きなスクリィンがあり、その横には電子機器が繋がれていた。
部屋には既に三人ほど集まっている。ぽつりと座っている男、芥川龍之介。その背後に立つのは部下の樋口一葉。スクリィンに繋がる電子機器を操作している萩原葉月だ。三人はこれから行われる会議への参加が目的で此処にいた。
「悪ィ、遅くなった」
突然開いた扉から入って来た二名は五大幹部の一角を担う二人、尾崎紅葉と中原中也だ。芥川は二人に気付くと直ぐに立ち上がり一礼をする。樋口も合わせて頭を下げた。
「佳い、座れ」
紅葉の言葉で芥川と、背後に立っていた樋口も席に着く。全員が席に着いた事を確認すると葉月は部屋の電気を消した。
「御伝達の通り、今回の招集は緊急性を要しています。首領直々の命令です」
「葉月や、鴎外殿の姿が見えんのじゃが」
「首領は所要で出ています。会議終了までには戻られる予定です。其れ迄は私が進めさせて頂きます。では、始めます」
葉月は映像を投影した。