第1章 月に吠える
この仮眠室には小さい窓とベッドが2つあった。
二人はシャワーを浴び終え、ベッドに座りもらったお茶に口をつけた。
「……美味しい。」
葉琉が呟いた。
「そうね…。」
葉月もつられて呟いた。
「ねぇ葉琉。マフィアに入ったこと、お父さんは怒るかしら?」
葉月はペットボトルを撫でながら葉琉に声をかけた。
「怒るかもねぇ。何せ自分がマフィアだったことも秘密にしてたんだから。」
葉琉はふふっと笑った。
「葉琉……。復讐なんて後悔してる?
葉琉は優しいから私について来た。そうでしょ?」
葉月は葉琉を見つめた。
葉琉は笑いながら
「もし、あの時葉月が復讐しようと言ってくれなかったら
多分私は一人でやってたよ。
だけど、私じゃあ葉月みたいに考えられないから
今頃もう死んでたかも。」
そう言って窓から見える月を見つめた。
「葉月は私を守るために復讐しようと言ってくれたんでしょう?私が一人で死なないように。
ポートマフィアに入るのも、ちゃあんと後のこと考えて私を守るため、でしょ?
でも此れで、私たちは一緒だよ。この先もずっと。
復讐が終わっても、お父さんがいたポートマフィアがある。
次はそこで守るものを見つけようよ!」
葉月も月を見る。
大きく輝く其れは、もう光の世界では生きていけない二人を優しく包み込んでくれる光だった。
「負けられない。絶対仇を取る。
そして、葉月と一緒に、この先も。」
「……うん…!」
二人はポートマフィアに入ったその日
静かに誓った。