第3章 祭りの夜に(黒尾鉄朗/単発)
暫く、黙って抱き合っていると緊張感が薄れて、苦しさが和らいでいく。
それに気付いたのか、腰を揺すられてナカが掻き回される。
ゆるゆるとした動きで、軽く気持ち良い部分が擦れているけど、慣れてくると足りなくなった。
「…もう、大丈夫…ですから。もっと…。」
羞恥心も飛んでいて、ねだるように自分からも腰を動かす。
「あっ!ん…っ、や、あんっ!」
徐々に激しくなっていく律動。
ぐちゃぐちゃと、奥深くまで掻き回す音が響いて、思考が麻痺していく。
「…ひ、あっ!」
力強く、腰を引き寄せられて一番感じる部分を自身の先端が擦った。
今までのものより、大きな快楽の波が迫ってくる。
「うわ、スゲェ締まってんじゃん。気持ちーの?」
状況を認識させてくる意地悪い台詞が聞こえたけど、それすらも私には流されていく材料にしかならなかった。
「ん、きもち…いいっ、ですっ…。や、もっ…むりぃっ!」
言葉として肯定すると耐え切れなくなって、波に飲まれないように縋りついていた体から、力が緩んだ腕が離れる。
迫ってきた快楽から逃れられずに達して、弾かれるように背が反った。
身体のナカでは、黒尾さんの自身が拍動していて、同時に絶頂を迎えられた事を嬉しく思う。
「…身体、平気か?」
「大丈夫…です。」
呼吸の息継ぎの隙間で会話をする。
私を気遣うように、ゆっくりシートの上に寝かされてから、硬さを失った自身がナカから引き抜かれた。
「花火、終わっちまったな…。」
「そうですね。」
「門限も、破っちまったな。」
「一緒に、怒られましょう。」
熱が冷めてくると、待っているのは現実。
だけど、もう少しだけでも一緒に居たいから、慌てたりはしない。
「そうだな。一緒に、監督の説教聞くか。」
黒尾さんも、分かってくれたようで、いつも通りのニヤけた笑顔でキスを返してくれた。