第2章 猫の交尾(灰羽リエーフ/シンデレラ)
我が家には、頻繁に猫が現れる。
その猫は、とても大きいのに甘えん坊で、構われたがりで。
隙さえあれば、すぐに襲い掛かってくるから、困っていた。
「なぁー…いいだろー?」
「良くない。まだお昼だからね?」
「夜まで待てねーよー…。」
「今するんだったら、夜は出来ないよ?どうせ、今日も泊まるんでしょ?」
「え?なんでだよ?」
「私の体力がもちません!」
たった今も、襲われかけたので、何とか制止している所だ。
その猫とは実は人間で、有名なモデルで。
私とお付き合いしているリエーフの事である。
私達は、全国で放映されている番組で公開告白みたいなものから始まった。
芸能界公認の仲だし、たまには外でデートをしても良いとは思うのだけれど。
私はともかくとして、リエーフが有名すぎるから、ゆっくり出来ない。
ファンに声を掛けられ過ぎて、デートって感じでも無くなってしまうから、2人で過ごしたい時は私の家。
ただ、この状況は万年発情期の大型猫にとって、1日中セックスして良い環境と間違えているみたいで。
家に来ると、私を抱えてベッドに直行が当たり前になっていて。
さっき、制止したばかりだというのに、性懲りもなく服の中に手を突っ込んでくる。
「こら!いい加減にしなさい!発情ばっかすんじゃないの!」
今度は、強めの声で怒るように言って手を掴む。
「なぁ、りこ。猫って、メスが発情するからオスがソノ気になるって、知ってるか?」
耳元で響く、ゾッとするようなオスの声。
止めようと掴んでいた手の力が、緩んでしまった。
リエーフの今の言い方だと、私が発情しているのだと決め付けられている。
そりゃ、恋人って関係の相手と、他に家族が居る訳でもない家で2人きりで。
何もない方が、自分に魅力がないみたいで嫌だと思ってはいる。
性的な事を考えているのに間違いはない。
考え事をしていて、抵抗を止めたから、リエーフは俄然ヤる気になったみたいで。
服の中で腹を撫で、後ろ側に手を回して、背骨を添うように指先が上がっていく。
「ひゃっ…んっ!」
それだけで反応して甘い声が漏れるのは、自分が発情しているのだと認めて。
受け入れる意を示すように、唇を重ねた。