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【実況者】短編集【色々】

第4章 ともだちのこいびと/fj


 

「ヒラくん、ちょっと聞いておくれ」
「なんだいフジくん」
「俺の彼女が今日もかわいい」
「はあ? もお〜またその話かよ〜、爆発しろクソ」

 フジには、長年付き合っている恋人がいる。
 俺は彼がその恋人と交際を始めて以来、こうして会うたびに惚気話を聞かされているのだ。
 話す内容もほとんど変わらない。「彼女の笑顔がやっぱり大好きだ」とか。「無口で照れ屋さんなところもたまんなくかわいい」とかね。何度も何度も繰り返し聞いた。はいはい、よかったね、返す相槌も雑になる。ますますリア充嫌いになりそうだが、どうしてかなあ、それでも渋々耳を傾けてしまう俺がいる。
 キヨにも、こーすけにも、お前はお人好しが過ぎると叱られた。嫌なら突き放して良いんだぞ、お前にとっても彼奴にとっても楽になるはずだ、ってさ。


 ……。


 俺は今日、最俺ハウスで四人実況を撮った後、久しぶりにフジの自宅マンションへ遊びにきた。キヨとこーすけの二人も誘われていたけど、彼らはやんわり断っていた。
 キヨも、こーすけも、フジに恋人がいることを知っている。そして、その恋人は彼の家に──同棲、していることも知っているから。
 だからきっと、彼らは遠慮をして断ったのだろう。きっと、そうだ。

 えっ、俺?

 あはは、ほら、俺はさ、友達にそんな可笑しい遠慮なんてしないよ。リア充は爆破させたい主義だからね、ふっはっはっはっはー!
 フジとまた二人で実況撮ろうって話もしていたし、ちょうど良いよ。こいつの彼女さん良い人だから、同じ場に居ても変に気を使わないし、うるさく実況してもにこにこ微笑んで見守ってくれるもん。

 大丈夫。だいじょうぶ。へーき。


 …………。


 
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