第2章 ***
手紙には俺への謝罪の言葉が綴られていた。
俺と体の関係を持ってしまった事…
何も言わずに姿を消してしまった事…
今かすみさんは九州にいるらしい。
その新しい環境で、旦那さんとまた一からやり直すのだそうだ。
「………」
初めから解っていた…
彼女との関係が許されない事も…
この先には何も無い事も…
それでも彼女の側にいられればそれで良かった。
例え俺が、彼女の淋しさを紛らわす為だけの都合の良い存在でも…
「っ…」
半年経った今、俺はようやく涙を流す事が出来た。
これで…これでもう彼女との関係は本当に終わりだ。
今この瞬間に断ち切らなくては…
そう決心したのに…
手紙の最後には『P.S.』と書かれた追伸文が付け加えられていた。
その内容に俺はまた胸を掻き乱される。
*
P.S.
飛鳥くんとのHが忘れられないの…
イケナイ事だって解ってるのに…私ってどうしようもない女だよね…
飛鳥くんに…いつか会いに行ってもいいかな…?
*
「………」
どうして…どうしてそんな事を言うんだ…
せっかく断ち切ろうと思っていたのに心が揺らいでしまう。
俺だってかすみさんとのセックスが忘れられない…
あの色っぽい表情も甘い声も厭らしい仕草も全部、今も俺の脳裏に焼き付いている…
「はぁっ…、かすみさん…ッ……」
我慢出来なくなった俺は、制服を脱ぎ捨て下着から緩く勃ち上がりかけている自身を取り出した。
ここのところあまりヌいていなかったせいか、ちょっとの刺激でもすぐに昇り詰めてしまう。
(…かすみさん…、かすみさん…っ…)
彼女は本当に酷い人だ。
俺にこんな惨めな思いをさせて…
それでも俺はきっと止められない…
本当に会いに来てくれるかどうかも分からない彼女を想いながら、こうして毎日自慰をするのだろう…
――飛鳥くん…
「ん…ッ…!」
ふと俺の名を呼ぶ彼女の声が聞こえたような気がして、俺は行き場のない想いと共にドクドクと精を吐き出した…
了